「夏服」というアルバムに収録されている。
大人っぽく色っぽさも感じる、悲痛の名バラード。
ラジオ番組のジングルから生まれた。
「夏服」というアルバムを発表した当時ではかなり大人びた曲。
大きく強く響かせていた歌い方から、
歌詞や曲の展開に合わせて声に抑揚をつける歌い方に
変えた。

イントロとアウトロのヴィブラフォンが印象的。
繊細で美しいサウンドが物憂げな雰囲気を醸し出している。
間奏のギターの音色、切なく響きます。
夕暮れから暗い夜へと空が紫に変化していくような、
もしくは雨模様で空も空気も澱んでいて、冷たい雨に打たれているような。
とにかく紫のイメージが強い曲。

歌声に関しては、声に抑揚をつける歌い方に変化したので、
aikoのチャレンジ精神が垣間見れる。
抑え気味に低い声で歌い、ところどころ感情移入して声を震わせたり。
Bメロでは段々と声量が上がり、悲痛な声を響かせる。
サビでは抑えていた感情があらわになり、泣き叫ぶような声で歌う。
ロングトーンも多く、広がりのある歌い方。
キーが高いところもほとんど地声で歌っていて、張りがある。

低音域の渋さ、高音域の美しさが光る。
サビでの声の強さも際立つ。
ビブラートとロングトーンは、心を揺さぶる。
悲しくて切なくて苦しくて、そんな失恋の痛みを見事に声で表現している。

歌詞は好きな人と別れて、まだ忘れる事も出来ず好きなままで、
どうしたらいいんだろうと苦悩している。
終わりが来る事を夏には感づいていて、今は9月。
まだ別れてそんなに時が経っていない。
だから失恋の痛みも癒えるはずはなく。
あなたを失って、私の道も今はわからない。
誰にも言えないこの胸の内、どうしたらいいの?

「いつも元気だなんて決して思ったりしないでね」
このフレーズは、当時世間のイメージとのギャップで悩んでいたaikoが、
思っていたことをうまく言葉に出来たという。
私もこのフレーズ、大好きです。共感するし、本当に歌詞の通りだと思う。
いつも元気そうに見えても、実際は落ち込んだり泣いたり憂鬱になったりする。
これは誰にでも言えることだと思う。
あえて歌詞にしたことで、人の心に沁み込み、共感を生む。

主人公の女の子は、陰の部分を見せるのが怖くて、
好きな人の前では明るく振る舞っていた。
もしくは、あなたと別れてしまって悲しい自分をごまかしたり、
あなたの知らない所で涙を流し胸を痛めている。
こんな自分もいるんだよ、こんな自分も自分なんだよ。
そう訴えたいのかもしれない。
好きだけどもう会えない人に。

この曲ではサウンドも歌い方も新境地を開いた。
切なさ満点で胸をわしづかみされること必至。


カラオケでは、結構歌う曲です。好きなので。
毎回歌ってて泣きそうになります。めちゃくちゃ感情移入しちゃって。
自分でも怖いくらいです。
難易度はちょっと難しめ。メロディは覚えやすいけど、音域が広いので。
低音域はギリギリ出るので、思いっきし低く歌い、
高音域は地声できつかったら裏声を使う。

抑揚をつけて歌うのと、ロングトーンはお腹の底から声を出すつもりで。
この2点がポイントなので、自分自身気をつけてます。
少ないスキャット部分も忘れずに。
悲しい沈んだ気持ちをどう歌で表現するか。
これに懸かってると思います。

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