2005年2月16日に発売されたシングル曲。
ピアノのイントロで始まる静かなスローバラード。
優しくも切なくノスタルジックなサウンド。
それぞれの音の響きがとても儚い。
シンプルな曲の構成で、大きなインパクトはないが
心にじんわりと沁み渡る。
曲のカラーとしては淡い色彩。

力強い歌声もお得意のスキャットも封印。
しっとりと歌詞を噛み締めて歌っている。
優しく、少し弱々しい声だが逆に新鮮。
曲の雰囲気に合っているし、切なさと寂しさが滲み出ている。
ロングトーンは気持ちが入っている。
キーの高い部分があまりなく、最後のサビ以外は地声で歌っている。
中音域で構成されていて、喉に負担がかからない曲だと思う。

「三国駅」というタイトルは、aikoの地元、大阪の三国駅のこと。
正式には阪急宝塚線の三国駅。
学生時代の思い出がたくさん詰まった地らしく、未だに思い入れが強い事から
「三国駅」というタイトルがつけられ、この曲が出来たとされる。

aikoの通っていた高校や高校時代住んでいた場所は、新大阪駅周辺。
どちらかというと、阪急宝塚線の三国駅より御堂筋線の東三国駅の方が近い。
aikoが上京する前に住んでいた場所も東三国駅周辺。
だから、東三国駅が「三国駅」の曲の舞台になってても間違いではない。
だが、aikoの友人が多く住んでいるのは三国駅。
aikoは短大時代から4年半、三国駅の隣りの庄内駅周辺に住んでいた。
三国駅まで足を伸ばすこともあり、本人も阪急宝塚線を利用していた。
高校時代も含め、短大時代や上京する前によく遊んだり、
大阪に帰ってからも訪れるのは三国駅周辺らしい。

タイトルの「三国駅」も、曲の舞台も、東三国駅と阪急三国駅どちらも
含んでいるのかもしれない。
一応「三国駅」ということで、阪急宝塚線の三国駅のことだとされているが。

歌詞は、大人になった現在から学生時代を振り返っているイメージ。
1番は大切な恋人に対して、2番は学生時代の自分や仲間について、
そして今の自分に対しての言葉が綴られている。
恋人に対しては、あなたがいなくなったらどうしようという不安。
常にある不安を埋めてくれるのが、あなたの指と腕。
それだけでいい。
仲間に対しては、温かい声をかけてくれるその存在と言葉。
それだけで安心する。
自分に対しては、確実に成長していっている心に気付いて。
希望に溢れていたあの頃の自分に恥じないように。

「繋いだ手を離したくない」というフレーズは、恋人でも友人でも
大切な人たちとは関係を繋ぎ止めておきたい。
気持ちが離れたり、縁を切りたくはない。繋がっていたい。
そういう思いが込められているのではないか。

ところどころ謎だったり、変わった表現の言葉使いだったりで
全てが理解できる歌詞ではない。
口語詩も混ざっている。
だけれども学生時代の自分の姿や、描かれている人物像が浮かんでくる。
そして自分の思い出だったり、学校や思い入れのある場所、
あそこのボーリング場が浮かんでくる。

切なくて物悲しくなるセンチメンタルな曲。聴く側の涙を誘う。
この曲を聴いて泣きそうになったり、実際に泣いた事もある。

冬のしんしんと冷えた空気を感じながらも、どこかほんわりと温かい
空気も感じる曲。
それは寒い日に思い出す、懐かしくて楽しくて切ない記憶に
心が温まるから。
もう戻れないけれど、いつまでも輝いてる過去に心を焦がすから。
そして、寒い身体を温め合える人の温もりがあるから。


カラオケでは、キーがあまり高くないし歌いやすい。
キーが極端に低い部分もなく、中音域がメインなので喉に優しい曲。
ロングトーンで息が続くか続かないか以外は、特に難しいところはない。
メロディも覚えやすい。スキャットも皆無。
ただ歌っててちょっと物足りない感も。。。

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